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執筆者:鈴木 拓(すずき たく)のプロフィール
個人英語教室(ネット版)のイングリッシュティーチャー。年以上にわたり、名様以上に英語指導。『日経WOMAN』『English Journal』等掲載。

昔は通信簿2(5段階、公立中学)、偏差値30と英語が苦手。1年でTOEIC 900点TOEIC 990(満点)、英検1級(2次試験はほぼ満点)
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英文法が覚えられない、覚え方というのは発想が間違っています

「英文法が覚えられない、覚え方というのは発想が間違っています」

今回は「「英文法を覚える」というのは間違い」というお話です。







■本当に多い「お悩み」

私はウェブサイト(ホームページ)を運営していますが、そこには実に、さまざまな検索ワードでやってくる方々がいらっしゃいます。

例えば、

「TOEIC 聞き取れない」

とか。

これは、TOEICのリスニングで苦労している方ですね。
このように、検索ワードは「お悩み」を反映していると言えます。


こういった検索ワードの中でとても多いが、

「英文法 覚えられない」
「英文法 覚え方」

などです。


上記の検索ワードを見て、

「あー、英文法が覚えられなくて苦労しているんだなぁ」

と思われたり、

「うんうん。わかるよ。自分も英文法が覚えられないんだよ」

と共感される方もいらっしゃるかもしれません。


しかし、私からすると、

「英文法 覚えられない」
「英文法 覚え方」

という検索ワードには、強烈な違和感を覚えます。

それと同時に、こういう悩みを感じさせてしまう日本の英語教育を残念に思います。


私からすると、

「英文法が覚えられない」

というのは、

「机を投げられない」「車を書き取れない」

みたいに言っているのと同じ違和感を感じます。

「机が投げられない?
 机って投げる物じゃないでしょ?
 そもそも投げようとしていることがおかしいよ」

「車を書き取れない?
 車って書き取る物じゃないでしょ?
 そもそも書き取ろうとしていることがおかしいよ」

と思うのと同じように、


「英文法が覚えられない?
 英文法って覚える物じゃないでしょ?
 そもそも覚えようとしていることがおかしいよ!」

と思うのです。

(誤解のないように書いておくと、日本の英語教育は、英文法を覚えるように教えるので、学習者が「覚えるもの」と感じるのは仕方がない面があります。残念なのは、学習者の人たちではなく、教育制度の方です)







■確かに覚える物もありますが…

確かに、英文法にだって覚える物はあります。

最低限のルールは覚えないといけません。

例えば、「前置詞」というものがあります。

前置詞には、at、in、on、about等があるのですが、
これらはいずれも、

「前置詞+名詞」

というように、名詞とセットで使います。


例えば、

I bought this book at the bookstore.
「私はこの本を書店で買いました」

のat the bookstoreは、

「前置詞(at)+名詞(the bookstore)」

となっています。


このように、

「前置詞と言うのは、必ず名詞とセットで使うもの」

というのは、「覚えるべきこと」です。


「なぜ名詞とセットで使うの?」

と理由を問うべき物ではありませんし、

「なぜ前置詞は名詞と使われるようになったのか?」

というように仕組みを探るべき物でもありません。


これは車の運転で言えば、「ハンドルは曲がる時に使うもの」に相当するようなものです。

「なぜ曲がる時にはハンドルを使うのか?」

などと考えないのと同じです。







■それって、覚えるべきことですか?

しかし、中学や高校では、覚えるべき物ではないものまで、「覚えろ」と言われることが多いんです。

例えば、同じ「前置詞」の話であっても、

1. I went to the restaurant ------ we had dinner at one week ago.

(A) which
(B) where
(C) whose
(D) why


のような問題において、

「atがあったら、答えはwhichと覚えておく」

というのはまったく意味が違います。


上記の問題は関係詞(関係代名詞と関係副詞の総称)の問題ですが、上記のような問題で、場所が先行詞(関係詞の前にある名詞)だと、自動的にwhereを選んでしまう人がいます。

しかし、上記の答えはwhichです。

そして、先生にもよりますが、中学や高校では、

「atがあるだろう? こう言う場合はwhichになるんだ。そう覚えておいて」

と言ったりします。

そして、生徒もそのように丸暗記する人が多いんです。

でも、これは覚えるべき物ではありません。むしろ暗記で逃げてはいけないものです。

ちゃんと仕組みを理解しないといけないものです。


atというのは前置詞です。

そして、先ほどお話したように、前置詞は、必ずセットの名詞が必要です。

では、セットの名詞はあるのでしょうか?

あるのはone week agoという副詞だけ。

副詞ですから、名詞にはなれません。

ということは、このままでは、前置詞atとセットの名詞がなくなってしまい、前置詞が間違った使い方をされていることになってしまいます。


ということは、空欄には名詞を入れてあげて、atとセットの名詞を作ってあげないといけないのです。

選択肢の中で名詞なのはAのwhichだけ。

だから、答えはAなのです。


このように仕組みがちゃんとあるものであり、それを理解すべき物なのです。

それを「atがあったらwhichが答え」と暗記していたのでは、

2. I went to the restaurant ------ we had dinner at that wooden table
  one week ago.

(A) which
(B) where
(C) whose
(D) why


というような、「似たような問題」で間違えてしまいます。

今度は、atにはthat wooden tableというセットの名詞があります。

ということは、前置詞+名詞のセットがすでに完成していいる。

空欄に名詞を入れてあげる必要はない。むしろ、名詞を入れるべき場所はないので、入れてはいけないのです。

なので、どこにでも自由に入れられる存在である、副詞を入れる必要がある。

Bのwhereは副詞なので、Bが答えになるというわけです。


ところが、「atがあったらwhichが答え」なんて暗記していると、Aのwhichを選んでしまいます。

こう言う問題を「引っ掛け問題」と言ったりしますが、ちゃんと理解している人からすれば引っかけ問題ではない。

引っかかっているのは、暗記で済まそうとしているからなんです。


上記のように、英文法というのは、覚える物ではありません。

「仕組みを論理的に理解すべき物」

なのです。

確かに、「前置詞は名詞とセットで使う物だ」のように、最低限は覚えるルールはあります。

しかし、それ以外は覚える物はない。

むしろ覚えようとしてはいけないもの。仕組みを論理的に理解しないといけないものなのです。


それなのに、覚えようとしていると、上記のように、「引っ掛け問題」で間違えたり、どんどん覚えることが増えて、

「英文法って覚える物が多すぎてつまらない!」

と英語が嫌いになる原因になったりしてしまいます。

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最後までお読みいただきありがとうございます。
今後とも皆様の英語学習のお役に立てれば幸いです。













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執筆者:鈴木 拓(すずき たく)のプロフィール
個人英語教室(ネット版)のイングリッシュティーチャー。年以上にわたり、名様以上に英語指導。『日経WOMAN』『English Journal』等掲載。

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