今回は英語学習全般のお話になります。
「感覚的にわかる」これは一見すると良いことのように見えますが、
これにこだわると、壁にぶつかってしまうことがあります。
■日本の英語教育は伝統的に「説明なし」
これは英語に限らないのかもしれませんが、日本の学校英語教育は、伝統的に、
暗記や感覚を重視し、論理的説明を軽視する傾向にあります。
例えば、
The man witnessed in front of the station might have been the suspect
the police was looking for.
という英文。
意味は、
「駅前で目撃された男は警察が捜していた容疑者だったかもしれない」
という意味なのでして、このwitnessedは「目撃された」という意味。
ところが、
「目撃した」
という意味だと勘違いし、
「男は駅前で目撃した」
と誤解してしまう人が多いです。
この際に、日本の英語教育では、
「そうじゃないと変でしょ」
「そういう気持ちを表している」
「このwitnessedは"目撃された"という意味だよ」
「こういうケースもあると覚えておいて」
というように、感覚や暗記に訴えることが一般的です。
逆に、「なぜそういう意味になるのか?」は説明されないどころか、
説明することが「良くないこと」と考えられることすらあります。
例えば、
「witnessというのは第3文型の動詞。
と言うことは、後ろに目的語が必要なんだ。
それなのに、今回、witnessedの後ろにあるのはinという前置詞。
目的語になれるのは名詞だけ。
と言うことは、witnessedの後ろには目的語がないことになってしまう。
それでは間違いなんだ。
でも、witnessedを動詞ではなく、過去分詞でthe manを修飾していると
とらえると正しい。
動詞として使ったのなら、能動態なので、目的語が必要だけど、
過去分詞なら受動態だから、逆に目的語がない方が正しい。
そのため、このwitnessedは"目撃した"ではなく、"目撃された"になるんだ。
The man witnessedのように、"主語 -ed"と来ると、すぐに、
"○○は〜した"と自動的に解釈してしまう人が多いんだけど、
それは注意が必要。
witnessのように、第3文型の動詞が来ているのに、
後ろに目的語がないのなら、過去分詞として"〜された○○は"となっている
ケースが多いんだ。
現に今回のケースでは、後ろにmight have beenという動詞が来ているよね。
仮にwitnessedが動詞なら、この文は2つも動詞がある間違った文になって
しまうよ」
というように説明すると、
「わかるかもしれないが、
それではいろいろ考えなければわからないじゃないか。
感覚的にわからないよ」
と思われることがあります。
■感覚的にわかる人は一部の人だけ
確かにこの主張には一理あります。
1、感覚的にわかってしまう
2、説明されないとわからない
の2択だったら、1の方がいいに決まっています。
「このwitnessedは"目撃された"だよ」
それだけで、
「あー、そうかそうか! そうだよね!」
とわかってしまった方が、先ほどの説明を聞いてわかるより楽で良いでしょう。
そして、現に、「このwitnessedは"目撃された"だよ」だけで、
・このwitnessedが"目撃された"であることが理解できる
・なぜこのwitnessedが目撃されたという意味であることが理解できる
・同じwitnessedでも、The man witnessed the suspect.のように、
"目撃した"という意味であるケースがあることが理解できる
・そして、The man witnessed the suspect.はちゃんと"目撃した"と正しく
とらえられる
これらをすべて実現できる人はいます。
「説明されなくてもわかる人」というのは、確かに存在します。
そういった人にとっては確かに説明は不要なものと言えるでしょう。
しかし、問題なのは、
「説明されなくてもわかる人ばかりではない」
ということです。
私は昔は通信簿2(5段階)、偏差値30と英語が苦手でした。
(今は、TOEIC 990(満点)、英検1級)
先ほどお話したように、日本の英語教育は伝統的に、暗記・感覚主義。
私の中学の先生もそうでして、
説明はほとんどなく、とにかく英文を一杯暗唱させるタイプの先生でした。
一杯暗唱しているうちに、説明がなくても、
「あ、このwitnessedは"目撃された"だな」
というように、感覚的にわかるようになってしまったクラスメートもいました
が、私はそういうタイプの人間ではありませんでした。
まったく同じ英文であれば、意味はわかります。
例えば、
The man witnessed in front of the station might have been the suspect
the police was looking for.
を暗唱したら、このwitnessedは「目撃された」という意味だと知っています。
でも、ちょっとでも変えられたらわかりません。
The man witnessed the suspect.
となったら、これが「目撃された」なのか、「目撃した」なのかサッパリ
わかりませんでした。
私のクラスメートのように、説明されずともわかってしまう人がいる一方で、
私のように、説明されないとわからない人も大勢いるのです。
そして、私は今までに、13年以上にわたって、20,400名以上の方を英語指導し
て来ましたが、「説明されないとわからない」タイプの人は大勢います。
■分かる方が良いか? 分からないままが良いか?
先ほど、
1、感覚的にわかってしまう
2、説明されないとわからない
の2択だったら、1の方がいいに決まっている、とお話しました。
感覚的に分かってしまう人なら、1の選択肢を取れるのですが、
私のように、感覚的にわからない人の場合、取れる選択肢は、
2、説明されて分かる
3、説明されないので分からない
(あるいは説明を聞いたり、理解しようとしない)
の2つなのです。
この2つだったら、もちろん2の方がよい選択肢です。
「なぜwitnessedが"目撃された"になるのか」を説明されて分かる。
もしくは、
「このwitnessedは"目撃された"だよ」とだけ言われるが、
なぜなのかがさっぱりわからないまま終わってしまう。
どちらが良いかは明白です。
日本の英語教育が暗記・感覚優先のためか、
あまりに「感覚的にわかる」を重視しすぎる方が多いですが、
それだと壁にぶつかってしまう可能性が高いです。
そりゃ、感覚的にわかるのがベストです。
でも、「感覚的にわかる」という選択肢をいつも選べるとは限らない。
むしろ、その選択肢を選べない人、選べないケースの方が多いんです。
それだったら、次にベストの選択肢である
「説明されれば分かる」を選ぶべきです。
「説明されない、説明を聞かない、理解しようとしないで分からないまま」
よりはずっと良い選択肢になります。
以上が今回のお話になります。
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今後とも皆様の英語学習のお役に立てれば幸いです。
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